俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
そして、朝目覚めるとデジャヴのように体に手が巻き付き、恭一に抱き締められていた。
これは恭一なんだと分かっていても、叫び声は出る。
条件反射だ。
その声で起こされた恭一はまだ不機嫌だ。
いや、だって、仕方ないじゃない。
ねぇ。
前のようにベットの上で正座をし、まだ寝転んでいる恭一に向かって頭を下げる。
「━━━ごめんなさい。ビックリしたんです」
「あーぁ。あんなとこで寝てた誰かさんをわざわざ運んであげたの俺なのにな。ひでぇ仕打ちだよな」
出来れば、そのままかソファーへお願いしたかった……とは言えないが。
ここは大人しく謝っておかねば。
「本当にごめんなさい」
ペコリと頭を下げ、少し眉も下げて上目使いで見上げてみる。
ワンコ王子の真似をしてみよう。
「…………っ、なんだよ」
駄目か。
がっくりと頭を垂れて自分の不甲斐なさを自覚する。
「じゃあ……キス、してもらおうかな。いいな。杏からキス、しろよ」
なっ、、何を言ってるんだろうこの人は!!
目を閉じて、んっ。と、待つその仕草がなんて可愛いんだろう。
なんだよ、くそぅ。