俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

しかしここで反論しても結局やらされる事は目に見えてる。
ならば、一発で終わらせたい。

意を決してそろりと近づく。
場所に照準を合わせて、目をギュッと閉じて、『チュッ』っと、小さく音を鳴らせて恭一から飛び退いた。

「こ、これで、許して下さい」

恭一の顔がみるみる赤く染まり、キスをした頬を手で押さえている。

「口にとは、言ってなかったですからねっ。しましたからね、許して下さいね！で、では朝ご飯作ります。冷蔵庫、開けさせてもらっても宜しいですか？」

そそくさとベットを降り、寝室のドアから恭一に確認する。
まだ放心状態の恭一は頭だけ頷くように返事をし、手をヒラヒラと動かした。

先に行っても良いって事よね？

「では、お先に起きさせてもらいます」

何か言われる前に逃げた方が良いよね。
先ずは洗面所で顔を洗わせて貰おう。
そう思って、寝室のドアを閉めた中で、恭一がベットに突っ伏して、『まいった…………』なんて言っていることは知らなかった。