彼女の彼氏が決まるまで
「なんもねーよ。・・・どっか行くか?」
「バレたら?」
「そん時はそん時。」
塚原の言葉。強いと思った。
そんな塚原に夏音はかなわなかった。
「やめとく。」
久しぶりに夏音は1人で家を出た。
塚原とどこかに出かければ、きっと楽しいだろう。
そう夏音は思う。
ただ、塚原にはこの先もずっと教師で居てほしいし、もしも私みたいな子が居たときには手を差し伸べてあげてほしい。それが夏音の願いだった。
見慣れたはずのこの景色も、夏の暑さで歪んで見える。
行くあてもないまま、夏音フラフラと歩いていた。