彼女の彼氏が決まるまで
「行ってこい、行ってこい!」
夕輝が手をブンブンすると、皆もニコニコと笑って送り出した。
瞬は夏音の手を引き、祭りの人の波を抜けて近くの神社の階段をのぼって止まった。
「瞬?わざわざ浴衣で来てくれたんだね・・・ありがとー。」
瞬はこちらを振り返る。
「いや・・なんか慣れないけどね。夏音が浴衣着るって聞いたから・・・。似合ってんじゃん。」
夏音は恥ずかしさのあまり、階段の方を向きお祭りで賑わう通りに目をやった。
お祭りなんて何年ぶりだろう。
小さい頃、夏音はずっといつか好きな人と来てみたいと思っていた。