彼女の彼氏が決まるまで
夏音はその日子どもたちが帰った後、すぐに家に戻って夕飯の準備を終わらせて部屋にこもっていた。
「かのん?どうした?体調悪い?」
後から帰ってきた塚原は心配する。
「ううん、入っていいよ。」
「あぁ。で、どうした?」
ベッドの端に腰を下ろしながら夏音を見る。
「あたしダメだ・・・。8年だよ?8年。なのに、まだふとした瞬間に瞬を思い出す。今日なんて、仕事中に。」
夏音が頭を抱えると、そっと塚原は抱きしめ、
「年月じゃないよ。俺だって仕事中、瞬のこと思う時がある。生徒見てるとさー、ふと思い出すんだよ。」