彼女の彼氏が決まるまで
それから、しばらくしてテレビで奏を見かけるようになった。やっぱりこっちの世界にいる人ではなかったんだと夏音は悟った。
それでも、サッカーをしている奏の姿を見ていると涙が溢れ出てしまう日もあった。
「ねぇ、夕輝。」
「ん?」
夕輝は振り向いた。
「夕輝はあたしが歌うって分かってた?」
「うーん。五分五分で行ったけど、あいつが歌ってほしいって言ったのを聞いて、おっ!ってなったよ。まぁ、CDを聴けばやってくれるんじゃないかとは思ってたけどね。」
夕輝は笑った。