御曹司といきなり同居!?
◇花束と、甘い誘い



シンデレラストーリーなんてまず信じないし、そういう、主人公に都合がよく運ぶ話を鼻で笑ってさえいた。

万が一、そんなことが自分の身に起こったら、まず、裏があるはずだと疑ってかかると思う。
そしてもちろん、裏があるのに、罠だと知りながら飛び込むようなバカな真似は絶対にしない。

だけど、そんな風に思っていたのはきっと、これまでの二十年間、そこまで悲惨的な立場になったことも、そんな時、これでもかってほど魅惑的な手を差し伸べられたことも……そして。

恋をしたこともなかったからだったんだろう。


私にはないと思っていた恋心が、湊さんの笑顔に、優しい声色に、やわらかい眼差しに……静かに呼び起されることを、このときの私はまだ知らない。








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