金木犀のエチュード──あなたしか見えない
スカーフを巻いた白いネコ――昨日、祖母の部屋で見たネコに違いないと思う。
「そうしたらさ、周桜が電車に乗り込んで来て、じっとネコを観てたんだ」
「アイツ、ネコを追いかけて電車に?」
「俺も半信半疑だったから、周桜に声を掛けたけど気づかなくてさ。その内、ネコが鎌倉駅で下車して周桜が後を追って、俺もネコがどこに行くのか興味があったし」
聞いていて、絶句する。
「バカだろ、スゲー暇人。で、鶴岡八幡宮まで歩いて? 鎌倉駅から鶴岡八幡宮まで1キロも歩いたのか」
「そう、本宮までの石段登るのはさすがに気が引けてさ」
「61段の石段……アイツ、まさかネコ追って1キロ歩いて石段を――無茶しやがって」
理久と呼ばれた男性は舌打ちをし、煙草を口に加え、火を点けた。
「千住さん、タイミングが悪かったわね」
永山さんは眉を下げ、すまなさそうな声を出す。
「そうしたらさ、周桜が電車に乗り込んで来て、じっとネコを観てたんだ」
「アイツ、ネコを追いかけて電車に?」
「俺も半信半疑だったから、周桜に声を掛けたけど気づかなくてさ。その内、ネコが鎌倉駅で下車して周桜が後を追って、俺もネコがどこに行くのか興味があったし」
聞いていて、絶句する。
「バカだろ、スゲー暇人。で、鶴岡八幡宮まで歩いて? 鎌倉駅から鶴岡八幡宮まで1キロも歩いたのか」
「そう、本宮までの石段登るのはさすがに気が引けてさ」
「61段の石段……アイツ、まさかネコ追って1キロ歩いて石段を――無茶しやがって」
理久と呼ばれた男性は舌打ちをし、煙草を口に加え、火を点けた。
「千住さん、タイミングが悪かったわね」
永山さんは眉を下げ、すまなさそうな声を出す。