金木犀のエチュード──あなたしか見えない
お婆ちゃまの日記を読みながら、詩月くんの演奏を流すと、何だかホッとする。
わたしが詩月くんの演奏を聴いていると、モルダウに顔を出す白いネコがたびたびやってきた。
白いネコは詩月くんの演奏が終わるまで、お婆ちゃまの部屋でじっとしていた。
詩月くんのチャイコフスキー作曲「懐かしい土地の思い出」は、お婆ちゃまの演奏とは違う。
白いネコはお婆ちゃまの生前もたびたび、詩月くんの演奏を聴きに来ていたのかもしれない。
お婆ちゃまは……アランの事故の後、アランの「懐かしい土地の思い出」を聴けないまま亡くなった。
お婆ちゃまが愛用したヴァイオリンのうち、1基は今、お婆ちゃまの部屋の硝子棚に眠っている。
もう1基はお婆ちゃまがアランに贈ったグルネリ。
アランはお婆ちゃまのヴァイオリンをどんな思いで受けとったのだろう。
涙の雫が日記の上にポタポタと零れた。
わたしが詩月くんの演奏を聴いていると、モルダウに顔を出す白いネコがたびたびやってきた。
白いネコは詩月くんの演奏が終わるまで、お婆ちゃまの部屋でじっとしていた。
詩月くんのチャイコフスキー作曲「懐かしい土地の思い出」は、お婆ちゃまの演奏とは違う。
白いネコはお婆ちゃまの生前もたびたび、詩月くんの演奏を聴きに来ていたのかもしれない。
お婆ちゃまは……アランの事故の後、アランの「懐かしい土地の思い出」を聴けないまま亡くなった。
お婆ちゃまが愛用したヴァイオリンのうち、1基は今、お婆ちゃまの部屋の硝子棚に眠っている。
もう1基はお婆ちゃまがアランに贈ったグルネリ。
アランはお婆ちゃまのヴァイオリンをどんな思いで受けとったのだろう。
涙の雫が日記の上にポタポタと零れた。