青春のグラジオラス
 「いやぁ、毎度毎度秀逸な返しをしてくるねぇ。感服感動感謝だ」

 「全部おかしい気がするけど」

 わけの分からない言葉の羅列に横槍を入れる。感動と感謝なんてする意味がまったくもって理解できない。

 「そんなことはどうだっていいんだ。地面で働きアリたちが一生懸命働いているのを、君はしげしげと見つめたりしないだろう」

 自ら変な返しをしておいてその物言いはどうかと問いたかったけれど、言われてみるとそうだ。実際聞き流してもいいことだったのに、僕は無駄に言葉を拾ってしまった。僕にとっても彼女にとっても必要のないやりとりだったかもしれない。

 「まあ、君が反応してくれなかったら、私はそれを指摘しただろうがね」

 「おい」

 なんて理不尽な。
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