青春のグラジオラス
 「いいじゃあないか、気にせずとも。あまりにも効率性や生産性を求めすぎると人生はつまらないものになってしまうぞ。私は君にそういうことを伝えたかったんだ」

 「きっとそんな深い話はしていないだろう。完全に後付けじゃないか」

 だんだん迫る一時間目を見向きもせずに、僕たちは会話を続けていた。ずいぶん長い討論をしているような気がするのは相手が柚木かをりだからに違いない。彼女と話していると疲労感が募る。

 「またそうやって横槍を入れてくる。でも私は君のそういうところは好きだよ。会話に華が咲くし、何より楽しいからね」

 綺麗な白い歯を見せて爽やかな笑顔を浮かべる。自分のポテンシャルを最大限活かした、まさに満面の笑みだ。


 あざとい。
< 13 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop