青春のグラジオラス
柚木かをりは容姿端麗、成績優秀、性格良好な、漫画にでも出てきそうな人間である。誰もが彼女を「完璧」と称し、先生からも生徒からも絶大な支持を得ている。
くりっとした大きな瞳にぱっちりとした二重。そこだけを見ると人形のような見た目をしている。安直な表現だけど、本当にぴったりな形容だった。世間一般で、可愛いと言われる見た目なのだろう。
多分、僕以外の人間に彼女を語らせれば、もっと多くの言葉を、表現を、具体例なんかでさえも用いながら、魅力を語り尽くせるのだろうけれど、僕にはこのくらいが限界だった。それは至極当たり前のことで、僕は彼女を恋愛の対象にしていないし、彼女の本性に近い部分を知っているからだ。
「…そういうの、ほんとあざといよな、柚木は」
少しだけ声をすぼめて言う。教室はやがて授業が始まることもあって、生徒が溢れてきていた。柚木は笑顔を崩してバッグの中を漁りだした。
くりっとした大きな瞳にぱっちりとした二重。そこだけを見ると人形のような見た目をしている。安直な表現だけど、本当にぴったりな形容だった。世間一般で、可愛いと言われる見た目なのだろう。
多分、僕以外の人間に彼女を語らせれば、もっと多くの言葉を、表現を、具体例なんかでさえも用いながら、魅力を語り尽くせるのだろうけれど、僕にはこのくらいが限界だった。それは至極当たり前のことで、僕は彼女を恋愛の対象にしていないし、彼女の本性に近い部分を知っているからだ。
「…そういうの、ほんとあざといよな、柚木は」
少しだけ声をすぼめて言う。教室はやがて授業が始まることもあって、生徒が溢れてきていた。柚木は笑顔を崩してバッグの中を漁りだした。