青春のグラジオラス
 柚木に対しても同じ気持ちだった。僕らが理解しあえることなんて決してない。僕らの人格を形成している根本が異なる僕らに、相互理解なんてできっこないと思っていた。


 でも。


 僕は彼女を理解したいと思った。彼女にこれ以上の理想を押しつけたくない。柚木かをりは柚木かをりでいてほしいと、そう思ったんだ。


 それだけは、僕がどうしても諦めたくないことだ。


 だから一つだけ、どうしても取り除きたい後悔がある。


 「なあ、猫」

 「なんだにゃ」

 猫は僕をしっかり見据えていた。


 「僕は、こうなってしまった僕を後悔しているんだ」
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