青春のグラジオラス
 僕の中でとりわけ波がキている葛城奏は、僕のつまらない日常生活を潤してくれている、いわば砂漠の中のオアシスそのものだ。同じルーティンをただ繰り返すだけの毎日に、楽しさなんてないに等しい。

 
 根本的に、生きることの意味が僕には分からない。

 
 何のために生きるのか。なぜ生きているのか。

 それが分からずに生きていくのは、無駄な気がしてならない。

 
 でも結局のところ、僕のように生きる意味を求めて悩んでいる人間なんてそういない。まして高校生ならばなおさらだ。何を考えずとも生きていくことができる。そんな羨ましいとさえ思えるほどのことを、この世の大半の人間ができるのだ。
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