零れた液体に名前はつけない
君は白く僕は黒でいい
僕らは人ならざるモノ。
生まれた時より夜に身を隠し、肉を裂き血を啜る異形のモノ。
吸血鬼と似た存在でいながらソレにすらなれない不出来な生き物。
血に飢えた穢れた獣の名を狩子(からす)、ときにカリコともよばれた。
世は僕らを拒絶し、陽から阻まれた陰の端で身を寄せ生きることを強いられる。
吸血鬼のなり損ない、獣の狩子たる僕らに生き場はない。
ふらりふらりと宛もなく彷徨うことを僕はなんとも思わなかった。
彼女と二人、永遠にいられるならそれで構わなかった。
それでも彼女は嘆く、人とはなれない獣でも。
他との交流を求め、せめてイキモノとして認められたいと泣く。
僕はその滴に名前をつけたくなかった。
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