零れた液体に名前はつけない
液体の零れる音は聞きたくない
それから彼女が笑わなくなった。
僕の壊した原型も留めない食事達を、作業のように摂取することで食事をしていた。
あいも変わらずこびりついた血の匂いに時折彼女が錯乱したかのように反応する以外は至って平和なはずなのに。
彼女の笑顔がどこかへ行ってしまった。
やはり狩りの本能があるからか、抑えられない衝動を味わいたいという獣の性か。
それではまた、あの滴を見てしまう。
それでも彼女がそれを望むならと、僕は考えた。