うっせえよ!
漁船というよりは、ボートに近く、それに私と誠司さん、おじさんの3人で乗った。
そこからおじさんのお気に入りのスポットがあるらしく、そこまでそのボートで、向かった。エンジンを積んだボートで、波を立てながらグワングワンといった感じで進んでいく。
少し酔ってしまいそうになったが、それ以上に楽しかった。学生時代に乗っていたらきっともっとはじけていたに違いない。
「さあ着いた。ここだ。」
船を停め、竿を三本。それにおじさんは、糸に5つくらい針と籠の付いたものを結び付けていく。
「この籠はなんですか?」
そうおじさんに訊いたが、反応がなかった。
「この籠ってなんですかー!?」
今度は大きな声で訊いた。おじさんは振り返り、「ああ、ここに餌を入れるんよ。」と答えた。
「餌って針に付けるんじゃないんですか?」
「まあ、それが普通やな。でも、サビキは違う。」
「サビキ? ですか?」
おじさんが指さしたところに青い洗面器が置かれていて、そこには小さな赤いエビの死骸が団子になったようなものがあり、生臭い匂いを発していた。
これが餌らしい。