うっせえよ!





それから釣りが始まったが、入れ食いとはまさにこのこと、糸を10秒ほど垂らして、リールをロックすれば、3~5秒ほどで当たりが来る。



あとはリールを巻けば、光る魚が上がってくる。ガラケーサイズの魚で、これがあのアジだと知ったときは、驚いた。



「誠司さん! また釣れましたよ!」



私は魚には触れず、針からアジを外すのは誠司さんの仕事だった。



そのたびに誠司さんは竿を持つ手を止めて、文句を言いながらもアジを取ってくれる。その繰り返しが日が暮れるまで続いた。



取材であることも忘れて私はすっかり満喫し、誠司さんはクタクタに疲れ、おじさんはそんな私たちを「雲泥の差やな。」と言って笑った。




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