うっせえよ!
大木りん流ジンクス。
名前の知らない男の人と一緒に暮らしている。
その男の顔も知らないし、声も聞いたことがない。
それなのに、私は幸せそうで、あどけない笑顔を彼に向けている。この笑顔を私は知らないはずだ。
しかし、不思議と、それに違和感を覚えることはなかった。彼の前では本当の私で居られた。
そんな私の顔が一変する。知らない番号からの電話に、口元を抑え、その場に倒れ込む。彼が私の肩を抱く。そして、難しい顔をして私を抱きしめてくれる。
病院へ行くと、ベッドでは右足のない母さんが横たわっていた。
「どうして!? どうして母さんがこんな目に……。」
泣きながら母さんの傍に寄る。
ただ、そこには私の肩を抱いてくれる彼の姿はなかった____