うっせえよ!
ブラコンだ。
それが誠司さんの妹さんに対する第一印象だった。
「馬鹿! こんなところで抱き着くな!」
誠司さんは妹さんを押しのけようとするが、押しのけられる妹さんも負けてはいない。
「だってえ、全然会ってくれないんだもん。靴紐とかネクタイ結びに行くって電話でも話したのに、最近はその電話すら出てくれないし、どうしてかなー、私、嫌われちゃったのかなーって思ってたら……。」
妹さんは私をにらみつけた。
「こんな田舎臭い女ができてたなんて、チョーショック。」
な、んだと!?
「こらっ! ンなこと言うな! 失礼じゃないか!」
そうお義父さんが妹さん……いや、クソアマの頭を小突いた。
「すみません。うちの娘が……。」
「あ、いえ。結構な妹さんで……。」
私もクソアマをにらみ返してやった。なんだこいつ。兄も兄なら、妹も妹なのか?
きっとこの兄妹、近所でも有名な問題児だったに違いない。