うっせえよ!
誠司さんがトイレから帰ってきたタイミングで、お義父さんお義母さんも散歩から帰ってきて、またそのタイミングでタクシーが来た。
「おばさん。」
「おばさんはやめなさい。」
「お兄ちゃんをよろしくね?」
お義父さんとお義母さん、クソアマはタクシーに乗り込んだ。
私は頭を下げ、誠司さんは手を振って見送った。
「ごめんな? うちの妹、昔からああなんだ。」
「ホントですよ。誠司さんは私のものなのに、まったく……まあでも……。」
「でも?」
でも、あのクソアマちゃんだって、寂しいんだよね。
大好きなお兄ちゃんが赤の他人のものになっちゃうわけだし。
そう考えると、今日がお兄ちゃんに甘えられる最後の日だと思っての行動だったのかもしれない。
まったく、私って本当に心が狭い人間だな。