うっせえよ!
「そんなの嘘に決まってんでしょ? 現に誠司さんは定刻通りに帰ってくるわよ?」
「い、一緒に暮らしてんですか?」
「そりゃまあ、結婚するんだから、暮らすでしょう。」
「あのゴミ屋敷でですか?」
「あのゴミ屋敷では暮らしてない。」
藤原は顔をしかめた。
「おかしいですよ、それ。だって、カミツレは今、戦場なんですよ? なんでも三村編集長の指示で、10月号に総力を挙げているらしくて、帰ろうとした者は屋上に呼び出されて、殴る蹴るの暴行を……。」
「おいおいおい! 待て! そんなことあるわけないでしょ! いくら編集長がこわーいお兄さんたちとお知り合いだからと言って、そんなこと……。」
「ないって言い切れますか?」
……言い切れない。
「とにかく、この原稿は預かっておきます。帰り際でもいいので、一度、カミツレに顔出しておいた方がいいですよ? 10月号、先生の特集なんですよね?」
「そうね。そういえば、今年一番の大仕事だとかなんとか発破掛けてたし、行ってみようかしら。」