うっせえよ!
「へ、編集長……どうも。」
「どうしたの? 愛しのダーリンにでも会いに来たのかしら?」
あ、やっぱバレてるんだ。
「あ、いえ、パンジーに用があったついでです。」
「そう。でも、残念。あなたのダーリンは今、河本ちゃんのところに原稿取りに行かせてるのよ。あ、でも安心なさい? まことちゃんだけは定刻通り、あなたの元に帰してあげるから。」
なるほど。そういうことだったのか。
カミツレ編集部がこんなことになっているのに、誠司さんが定刻通り家に帰ってくるのは、編集長、この人の気遣いだったというわけか。
「それで、どう? 進んでる?」
「はい。一応、朱入れされたものは直してますけど……。」
「ああ、そうじゃなくって! ほら、ご両親への挨拶とか、式の準備だとか。」
ああ、そっちか……。
「ご両親への挨拶は済みました。でも、日取りをいつにするとかそういうのは、まだ決めてません。」
「あら、決めてないの? それじゃ私が決めてあげるわ。」
「……遠慮しときます。」
「10月21日金曜日。うん、この日がいいわ。大安だし。この日にさない。ね?」
「どうしてその日なんですか! ってか、勝手に決めないでください!」