うっせえよ!
「おおー、内村航平並みの着地だな。綺麗だ。」
んな呑気なこと言ってる場合か!
「とっで!! とっで!! とっで!!(訳:取って)」
「よし来た。」と誠司さんが丸めた新聞紙で正眼の構えをする。
そのまま、私の額めがけて……え!?
「そりゃっ!!」
奴は飛ぶ。危険を察知して、飛ぶ。
茶色く濁った羽をバッサバッサ羽ばたかせて飛ぶ。
「ギャー!! こっちです!!」
「ここか!」
「こ、今度はここです!」
「何!? しぶとい奴めっ! このっ!」
「ふえーん、またおでこに……。」
「とりゃっ!」
「痛っ! あー、逃げました!」
「何!? どこだ? ここか? ここか!?」
殺しても殺してもキリがない。
奴を1匹見つけると、50匹はいると言われている。
結局、私は叫び疲れ、誠司さんは殺し疲れ、バルサンを炊くことにして、その日私のマンションへ帰った。