うっせえよ!
「ダメだ。暮らせない。」
私がそう呟くと、誠司さんは食い気味で、「こっちだって迷惑してんだ。被害者ヅラしてんじゃねえ!」と叱責。
その叱責を聞くと、ああ、殺したくなる。今すぐ台所から出刃包丁を持ってきてメッタ刺ししたくなる。そうすれば、いいサスペンスが書けるかもしれない。
……ん!? そうか! その手があったか!
「……誠司さん。嫌でしょうが一緒に暮らしましょう。私にとってはまたとないチャンスですからね。無駄にしたくないんです。書きます、恋愛短編小説。」
誠司さんは顔を上げた。
「まあ、やってみろ。作家人生を懸けるつもりで……とまでは言わないが、やるだけやってみるのもいいかもしれない。」
とダルそうに答えた。もしかしたら、誠司さんはツンデレなのかもしれない。
誠司さんからこんな優しい言葉をかけてもらったことは、出会った当初以来のことだ。