優しく愛した
「…オナガは私のこと…きらい?」
そんなはずはない。
好きすぎるからこその行動なのだから。
自己嫌悪に陥る自分と、それを受け止められない相手。
「…ベニハシ…私の血、全部、飲み干して?そして私を殺して?」
抱きしめながらの言葉にベニハシの感情が行動で読み取れた。
驚き怯え、そして怒り。
逆の立場なら憤慨しているだろうから、多分相手もそうなのだろう。
嘘でもその言葉を口することは、反則だと思っているから。
「…それがだめならずっと愛して。そうすれば私もずっとあなたを愛し続けられるから」
愛されていなければ愛せない。
なんて狡い言葉か。
浅はかな行動が彼女の悲しみを招いた。
その代償は受け入れる。
だがそれは決して互いの離別ではない。
永遠を誓う、一生を背負う。
互いを想いあうことでしか、もう前に進めないのだから。