優しく愛した
千切れ様が構わない

 それは、早かった。

 あまりにもあっけなく見つかってしまった。

 出くわさないようにと距離を空けていたのに。

 容易く遭遇し、発覚してしまった。

 みたことがない顔で腕を引かれ、頬を打たれた。

 「っあ、…ベニハシ…ごめんなさ、」

 壁に体を打ち付けられ言葉が切れた。

 顔をあげれば、怒りの目が向けられていた。

 「だれに」

 「・・・え」

 「だれに、だれが、どうして、なんで…」

 吐き出された低い声、聴いたこともない声だった。

 「…私が悩んでいる間、オナガは他の奴に血をすわれてたんだ。裏切ったんだ」

 否定できず俯いた。

 そのつもりで、距離を置こうと言ったのだからなおのこと。

 「…ゆるさない」

 恨み言を口にしたかと思えば、噛み跡をひっかかれた。

 「…っい」

 痛みに声を出せば嘲笑された。

 「…許さない」

 
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