あかすぎる、恋に。

うつむいていた莉雨は、表情が読み取れ
なかったが、遼真はそれでも言葉を紡いだ。

「沢良宜さん。・・・・俺は、告白した
ことないからその勇気は尊敬する。」


そう言ってにっこりとほほ笑んだ。

「こんな俺だけど・・・好きになってくれて
ありがとう。」


この先の言葉は、莉雨も分かっているらしく
肩が小刻みに震えているのが分かる。


遼真もそれに気付いて続きを言うか迷って
いたけれど、やっぱりと、口を開いた。


「ごめん、沢良宜さんの気持ちには答えられない。」


しばらくの沈黙の後、莉雨が口を開いた。

「・・・・こんなの、見苦しいと思ってる。
自分でもわかってる。」


その声が、聞いたこともないほど弱々しく、
震えていた。


・・・・・・莉雨。


「だけど・・・・言ってもいい・・・?」

うん、聞かなきゃならないよね。

「私、本当はすごく卑怯なんだ。彩が
苦しんでいるの分かってて、ずっと黙ってた。
私も、自分の気持ちを貫きたかったから。」


でも・・・と目を伏せる。


「遼真君さ、私の名前、苗字でしか言って
くれなくて。・・・別に悪気があるわけじゃ
ないのは言ってるよ。でもそれが私と彩の差
なんだなって嫌でも実感しちゃって・・・・・。」







< 136 / 194 >

この作品をシェア

pagetop