あかすぎる、恋に。
・・・・・・・・・・・・

ごめん、一回フリーズ。
落ち着いて、私。遼真は何て言った?

『・・・キスしていいか?』

ごめん、やっぱもう一回フリーズ。

「え・・・?ちょ、遼真・・・?」

私は言葉の処理が追いついていない中、
言葉を疑問形にして尋ねる。

「もう抑えきれねぇから。」

ハッキリと断言するどの余裕はどこに
あるのかよく分からない。

遼真は私の肩をグッと掴むと、自分の方に
私を引き寄せる。


さっきの言葉が本気だったら。
なら私は・・・・・。

「・・・・・・・いいよ、私。遼真になら
全部いい。」


そう言った私は、こんな状況であるのに
やけに冷静でいると思われたのか、遼真は
少し目を見開いている。

それとも、この返事はよほど意外だったのか。

「彩・・・・・」


そう言ってぐっと距離を詰めた。

吐息がかかってくすぐったい。
そういう態度をすると、クスリと遼真は
笑った。

微かに笑って、どちらともなく近づける。

荒々しいキスではなかった。
ガラスモノを扱うような、優しいキスだった。

それが遼真の心のようで。

それが私は幸せだった。




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