あかすぎる、恋に。
「・・・・客多くない!?」
第一一声がそれだった。
その言葉に唄鳥君は、苦笑しながら答えてくれる。
「まぁ、時間が時間ですから。お昼には時間が
あるし、それに今からの演劇は時間が良いん
ですよ」
そう言われても・・・・。
老若男女、年代が広いよ!?
たかが文化祭の演劇だよ!?
そして誰でも知っている童話のシンデレラだよ!?
そんなに来たい!っていう風ではないだろう。
「ううーっ、緊張する」
私はこっそりと客の方を見て、今にも
飛び出しそうな心臓を抑える。
「あ」
その客の中に、一人で見るのは恥ずかしい
ためなのか少し後ろで立っている人がいる。
・・・・・・遼真だ。
バッチリと目があって、私はそらせないで
いると遼真はニコリと笑った。
私もニコリと微笑み返すと、舞台裏へと
戻った。
『それではグリム童話、シンデレラです』
機械的な女の人の声で、急に静かになる
舞台。
さすがに大声で『行くぞー!』とか言えない
けど、みんなで円陣になって小声で声を
揃えた。
「成功させるぞ!」
「おー!!!」
そう言って舞台の幕が開く。
スポットライトの光が熱くてまぶしくて、
今にもくらくらしそうだったけど、私は
必死に耐えた。
絶対成功させる。
私は最初のセリフを頭に浮かべて、よく
響くように言った。