あかすぎる、恋に。
分かっているのは、見ず知らずの男が家に
母親と二人きりでいて、抱き合っている。

―――――なんでだよ?

こんな母親でも、死んだ父親のことを愛して
いたんじゃねぇのかよ。


なんで抱き合って、キスしてんだよ。
何でそんなに幸せな顔してんだよ。

「ん・・・・・・」

あの女の甘ったるい声が、聞こえる。
喘ぐような声が耳にまとわりつく。

うるさい。

うるさいうるさい。

「ああ・・・ん・・・・・」

うるさいな・・・・・。

「何なんだよ・・・」


その声は、か細い声じゃなくハッキリと
聞こえる声で、呟いた。

「あ、遼ちゃん・・・帰ってきたの?」

「何なんだよ!!・・・仕事とか、もう
何でもいいけど!!でも、でも!!」

仕事が嘘でした、とか。
そんなのならどうでも良かった。

どうせ俺は、実の母親の仕事だって興味
無かったし。

どうせ俺と母親の関係なんて、血が
繋がっているだけだし。





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