あかすぎる、恋に。
なぁ、彩。

俺も強くなれたよな?

今まで伝えられないこと、全部伝えたよ。
偽りだらけで毎日を染めるより、
この方がずっと楽だった。

俺は、まだそんなことも気づいてなくて。

彩や沢良宜さんも困らせて、泣かせていたんだって。


自己嫌悪と苦悩にまみれて、一人で苦しむなら
まだよかったとか勝手に思って。

勝手に勘違いして、勝手に人を振り回して。

そんな俺が、逆にみんなを苦しめていた。


「ごめんね・・・遼真ぁ!!」

「・・・・もういいから、俺も。俺もちゃんと
母さんのこと支えるから」


そう言って母さんを抱きしめる。

いつの間にかこんなにも痩せるほど、頑張って
いただなんて、胸が苦しくなった。

大泣きしている母の顔を見て、いつの日か
夕日の光がいっぱいに差し込んだ教室で
泣いていた時のことを思い出す。


あの時より、変わってるはず。

今なら確信を持って言えるんだ。
もう誰も泣かさない。


今の俺を強くさせるにはその言葉で
十分だった。







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