あかすぎる、恋に。
今度は確実に怒りを少し含んだ眼で
俺を見据える。
「本当に好きな人がいるなら、その人を
悲しませないでください。できないなら・・・・・」
ふっと息を吐き出して一瞬、空気が
軽くなったような気がする。
「諦めてください」
・・・・・・・前言撤回。
空気軽くなったどころかもっと重くなってね?
唄鳥はさっきまでの怒りなどを忘れたように
ケロッと「帰りますー」と言って、本気で
帰って行った。
「・・・・・・・・・・・」
唄鳥の背中を見る余裕もなく、さっきの
言葉を思い返す。
『本当に好きな人がいるなら、その人を
悲しませないでください。できないなら・・・・・』
『諦めてください』