あかすぎる、恋に。
・・・・・・・・何言ってんだよ、唄鳥。
誰をだよ。
誰を諦めろって?
誰を泣かしたって?
・・・・・・・知ってるよ、
誰を悲しませているかなんて。
「俺は・・・・・・」
そうつぶやきながらも、足は教室の方へ
進んでいく。
もしかしたら、きっと彩が
いるかもしれない。
でも、それだけだ。
何をしていてもきっと、今の俺には
唄鳥が言ったように悲しませるだけなのかも
しれない。
もっと彼女を苦しめるだけなのかもしれない。
そう思ったら、進んでいたはずの足も止まり
教室の少し前で一歩も動けなくなった。
夕日が沈みかけ、真っ赤な色が廊下まで
行き届いた。
俺の目の前でくっきりと境目ができる。
「・・・・・・・・」
教室から聞こえるか細い声が聞こえた。
それが間違いなく彩のものだと分かった。
だけど中に入る勇気もなくただ立ち尽くす。