あかすぎる、恋に。
説明をしながら若干笑みを浮かべている
唄鳥君に必死に目で訴えても、全然
何も言ってくれなかった。
ちょっと!絶対に楽しんでるよね!?
楽しんじゃってるよね!?
その時、意外なところから助け舟が来た。
「せんせー、授業が始まんないから
怒るのは後にしようぜー」
遼真だった。
今朝のどんよりムードなんか完全に
忘れたような声のトーンでそう言う。
私はバッと遼真の顔を見る。
遼真は不器用に、でも優しく笑っていた。
それだけで私は無性に胸が熱くなり、同時に
悪いことをしたんだなと思ってしまう。
小さく「ありがとう」とつぶやく。
それがちゃんと遼真にも届いたらしく
うん、と笑って頷いてくれた。
でも、遼真を諦めていたら、忘れていたら
これらから先に起きるもっとひどい事態を
回避できたのかと思うと、心がいたくて
仕方ないんだ。