恋なんていたしません!
16年間の人生の中で、わたしに初めての彼氏ができた!

だけども、その喜びは数日後に無残にも打ち砕かれた。

「お前、野々村とつきあい始めたんだって?」

その日は日直の仕事があったので帰りがいつもよりも少しだけ遅くなった。

下駄箱に差しかかった時、そんな言葉が聞こえた。

野々村って、わたしのことだよね?

そう思いながら少しだけ顔を出して覗き込んで見ると、5人くらいの男子生徒が下駄箱の前でたむろしていた。

その中には、数日前にわたしに告白してきた彼がいた。

彼らは集まって彼女であるわたしの話をしているようだった。

「ああ、つきあってるよ」

それがどうしたとでも言うように答えた彼に、わたしはキュンと自分の胸がときめいた。
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