BORDER LINE
荒川も、その罪悪感に耐えきれなくなったのか、スタコラサッサと退散した。

残された朝倉のぷっくりとした頬には、ツツゥーッと、涙が一筋伝った。

ワガママな姉ちゃんと、妹に囲まれて育った俺は、女の涙に弱い。

「おい、朝倉。俺の半分やるから、泣くなよ。」

俺がそっと耳打ちすると、

朝倉は、袖で涙を拭い、パッと顔をあげた。

「ホント?ホントのホント?」

俺は、9歳にして、女のウルウル上目遣いの、ダイナマイト並の破壊力を知った。

コ〜イしちゃったんだ、たぶん〜♬とかいう、どっかの恋愛ソングが、脳内で爆音リピートされた。
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