BORDER LINE
———みるくプリン殺害事件が、9歳んときだから……。

俺は、ひぃ、ふぅ、みぃ、と指折り数える。

片っぽでは足りなくなり、もう片っぽの手も動員して、ひぃ、ふぅ、みぃ。

「八年前?うわ、ヤバイ。もう、初恋拗らせました、の域に片足つっこんでるわ、俺。」

「いや、既に両足どっぷりつっこんでるかんな。」

京介は、青ざめる俺に、痛烈なツッコミを入れつつ、

「ま、高校生にもなったわけだし、壁ドンの一つでもしてみれば?」

と、イケメン野郎ならでは、アドバイス。

いつもの俺ならば、京介からのダブルパンチがクリーンヒットして、

「高校生になりゃあ、誰でも、壁ドンできるみたいに言わないでくれ。あんなんできんの、超絶イケメン野郎だけだかんな、山○賢人だけだかんな。」

とか、泣き言の一つや二つ零しそうなものだ。

しかし、今日の俺は、京介のダブルパンチをヒュンヒュンッとかわしてみせた。

というより、他んことに気をとられていた。

意中の女、朝倉が、おにぎり六つ目で、ごちそうさま、と掌を合わせていたのだ。

「なんか、今日、あいつ、ちょっと、おかしくね?元気なくね?」
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