BORDER LINE
———あいつ、何かあったか?

スッと眸を細める俺に、京介は、すっとぼけた声で、

「朝倉が?どうして?」

と、聞きかえす。

俺は、やれやれ、物わかりの悪いやつめ、と、マリアナ海溝よりも深いため息を一つ。

そして、俺は、チッチッチッと、人差し指を立てて、

「ほら、あいつ、おにぎり食うの、六つでやめたろ?」

すると、すかさず、京介が、俺にかみつく。

「んなこと、知らねぇわ。んなの観察してんの、てめぇだけだわ、こんのストーカー!」

そして、

「つぅか、六つでやめちゃ、いけねぇのか?一つ、二つでやめる女も多いぞ。」

と、整った顎に指をかける。

俺は、ちぎりパンのラストの一口を呑み込むと、いや、と続ける。

「あいつ、あんな細っこい身体して、いつもは九つ食うんだ。具合でも悪ぃんじゃねぇかな?」

「へぇ。んでも、心配ねぇんじゃねぇの?」

京介が、クイッと、顎で示した先で、

朝倉は、柔らかな机に浴びながら、机に突っ伏し、くぅくぅ寝息を立てていた。

(クソッ、可愛いな、このヤロー。)
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