BORDER LINE
「かすみちゃんって、誰だよ?ウチのクラスに、んな女子いたっけ?」

「転校生じゃねぇーの?」

俺たちは、

始業のチャイムもお構いなしに、

「チャイム鳴ったんだから、座んなさいよ!」と、お怒りの、メガネ委員長さんもお構いなしに、

俺達は、黒板の前で、ギャースカギャースカ、バカ騒ぎ。

ただ、いつの世の小学生も、あのセリフだけには弱い。

「ヤベッ、センセ、来るぞっ!」

ガキ大将の焦った声で、俺達は、一斉にガタガタ席につきはじめた。

朝の会。

高松センセにトタトタくっついてきたのは、髪の長ぇ女だった。

髪の長ぇ女、第一印象はそれだけだった。

8年間、片想いする女にそれだけかよっ、とツッコまれそうな話だが、

きっと、皆、

金髪でリーゼントで、ゴツい肩に髑髏タトゥーを入れた兄ちゃんを見れば、あ、ヤベェ奴だと思うし、

麦わら帽子に、赤シャツ着た兄ちゃんを見れば、あ、海賊王だと思うはずだ。

ヤベェ奴、海賊王、髪の長ぇ女、

まぁ、人の第一印象なんてそんなもんである。
< 27 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop