BORDER LINE
だが、年を重ねるにつれて、大人に近づくにつれて、朝倉は、泣かなくなった。
たった一つの朝倉の逃げ道は、ただの窓になってしまった。
朝倉は、どんなに悲しくったって、辛くったって、無理に笑うようになった。
こんなふうに、ブサイクな面して、笑うようになった。
「何言ってんのよ?あんたの看病に決まってんじゃないの。」
———嘘つけ。
———朝倉は、俺の看病なんかしてる暇があれば、何かモノ食ってるか、絵を描いている女だ。
それでも、俺は、朝倉はそんでいい、と思っていた。
朝倉は、泣かなくなった。
けれども、時折、朝倉の眸には、暗い悲しみが澱むようになった。
俺は、それが、堪らなく嫌だったのだ。
同い年の女共は、何にも考えてねぇような顔して、キャハキャハ笑ってんのに。
朝倉だって、十七の女なのに。
「部活は?最近、絵ぇ描いてねぇみたいだけど。」
朝倉は、俺のコトバに、あからさまに、肩をびくりと震わせた。
「……休部中なの。ちょびっとだけ、悩むことがあって。」
———こりゃ、ちょびっとじゃねぇ何かが、あったな。
「あっそ。」
そっけなく返しながらも、俺は、朝倉の眸を探る。
朝倉は、フイッと、眸を逸らした。
「心配しないでよ。私も、もう高校生だもの。あなたに泣き面晒したりしないわ。」
コトバに反して、朝倉は、今にも泣きそうな面して、俺ん部屋から出て行った。
「泣きそうなやつしか、んなこと、言わねぇって。」
たった一つの朝倉の逃げ道は、ただの窓になってしまった。
朝倉は、どんなに悲しくったって、辛くったって、無理に笑うようになった。
こんなふうに、ブサイクな面して、笑うようになった。
「何言ってんのよ?あんたの看病に決まってんじゃないの。」
———嘘つけ。
———朝倉は、俺の看病なんかしてる暇があれば、何かモノ食ってるか、絵を描いている女だ。
それでも、俺は、朝倉はそんでいい、と思っていた。
朝倉は、泣かなくなった。
けれども、時折、朝倉の眸には、暗い悲しみが澱むようになった。
俺は、それが、堪らなく嫌だったのだ。
同い年の女共は、何にも考えてねぇような顔して、キャハキャハ笑ってんのに。
朝倉だって、十七の女なのに。
「部活は?最近、絵ぇ描いてねぇみたいだけど。」
朝倉は、俺のコトバに、あからさまに、肩をびくりと震わせた。
「……休部中なの。ちょびっとだけ、悩むことがあって。」
———こりゃ、ちょびっとじゃねぇ何かが、あったな。
「あっそ。」
そっけなく返しながらも、俺は、朝倉の眸を探る。
朝倉は、フイッと、眸を逸らした。
「心配しないでよ。私も、もう高校生だもの。あなたに泣き面晒したりしないわ。」
コトバに反して、朝倉は、今にも泣きそうな面して、俺ん部屋から出て行った。
「泣きそうなやつしか、んなこと、言わねぇって。」