BORDER LINE
慌てふためいた挙句、少女漫画的クサイ台詞を吐きそうになる、俺を、少女が静かに制した。

「あんたの安っぽい慰めなんか、要らないわ。ただね、駅前の春期限定サクラパフェ、ものすんごい食べたい。」

「……奢る。」

「私、軽く十人前くらいいっちゃうかもよ〜。」

少女は、冗談めかして、幼く笑う。

「ありがとね。」

それから、少女は小さく小さく呟くと、キャンバスに向き直った。

「今日、もうちょびっとだけ、描かせて。次のコンクールまで、もうあまりないのよ。アナタも部活あったでしょう?部活サボって、こんなトコで超高校級に美少女な私と居たら、部の皆に冷やかされるわよ。」

———私は、もうとっくのとうに、しっかり前向いてんのよ?アナタはいつまで落ち込んでんだか知らないけど、私、慰めらんないかんね。バーカ。
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