BORDER LINE
その日の給食には、みるくプリンという、ちょっぴしキラキラなデザートが、おぼんに並んでいた。

俺らの学校は〝誰とでも仲良く〟だとか、なんとか、無意味な教育目標を掲げていたらしく、

給食は、席の近いやつと、6人グループで食わされた。

んで、俺は、そんとき、朝倉と同んなじグループだった。

担任の高松センセは、隣町の小学校に出張だということで、

その日の給食は、いつもよりちょっぴり騒がしかった。

そんな中、朝倉は、黙々と給食をたいらげ、〝いただきます〟の2分後には、みるくプリンに手を伸ばしていた。

朝倉は、みるくプリン、とポップ文字が躍るラベルの端っこをつまむと、ゆっくり、ペリペリッと、はがす。

それから、クンクンッと、プリンに顔を寄せ、口元をニヘラッと、さも幸せそうに緩ませた。

———これらは、朝倉が、トクベツに大好きな食い物だけに見せる仕草である。

———ダッセェ顔。

俺は、ヘニャリ顏の朝倉を横目に、汁ものをすすった。

しかし、担任のセンセが出張&〝みんな大好き〟プリン給食の日、平穏なんて訪れるわけがないのだ。

それは、朝倉が、スプーンで、黄金色のプリンをすくおうとしたのと、ほぼ同時だった。
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