BORDER LINE
一瞬のうちに、教室が二酸化炭素濃度3割増しの重たい空気に包まれる。

「朝倉さん、可哀想……。」

「荒川君って、オーボーよね。」

クラスメイトは、日頃の怨み辛みここで晴らさん、とばかりに、荒川に、チリチリとした視線を浴びせる。

完全なる荒川アウェイのフィールドに、荒川は、朝倉から、逃げ出そうとした。

「……悪りぃな。でも、お前も悪りぃんだかんな。」

ちゃっかり、朝倉にも、プリン殺しの罪をなすりつけるのも忘れてない。

「サイテー。」

朝倉は、荒川を、ギリギリと睨みつけ、零れそうな涙を堪えながら、それだけ、絞り出した。

「悪かったっていってんじゃんか!」

荒川は、朝倉の机に、拳を打ち付けた。

俺は、朝倉の皿やら、お椀やらが、宙に舞うのを必死に押さえつける。

「謝ってもらわなくて結構よ!そんなに謝りたいのなら、あんたがグシャってしたプリンにでも土下座したらいいじゃない!」

朝倉は、ムチャクチャに喚く。

溜まった涙は、今にも零れ落ちそうだ。
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