ange~天使が恋した王子様~


「杏?…………あーん‼︎」


「へ⁉︎」

驚いて横を見ると少しいじけたような表情の棗。


「もー!なにぼーっとしてるの?」


「いや、別に…」

そっか、今お昼休みだ…


「大丈夫?具合悪い?」

私の生返事に棗は心配そうに顔を覗き込んできた。


「大丈夫だよ。なんかぼーっとしてただけ」

言えない。

言いようがない。

どうしてこんなに胸がざわついているのか。

修学旅行先をソウくんから聞いた瞬間から鼓動が鳴り止まない。

でも、理由なんて言えない。

理由は自分でもわからないんだから。

言いようなんてない。
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