ange~天使が恋した王子様~
「杏菜はね、昔から身体が強い方ではなかったらしいわ。
だから、あなたを産むことも命がけになる。
それをわかったうえで、あなたを産んだのよ」
私はなにも言えなくて俯いた。
膝の上には握りしめた私の拳を優しく包むソウくんの手があった。
「あなたのお父さんは反対したのよ。
身体がよくなってからでも遅くないって。
でも、杏菜は決して頷かなかった」
涙がこぼれそうになって下唇を噛む。