ange~天使が恋した王子様~
いつもより10分長く電車に揺られ、乗り継いで3駅。
電車から降りてエスカレーターに乗って駅の改札を出ると、1年ぶりの景色に出会った。
そして、1年ぶりの花屋さんでいつもと同じスズランを買って私はゆっくりと海沿いを歩いた。
そして、墓地の中へ、ゆっくりと入って行った。
最後に来たのは中1の夏。
5年ぶりで正直少しだけうろ覚えだった。
でも、なんとなく、迷わずにこれた気がする。
それは、頭が覚えていたんじゃなくて、足が、体が覚えていたから。
いつもよりゆったりとした足取りで少し前にも聞いた音を耳に入れながら歩く。
じゃり
そして、少し前と同じように、その音が止まり、私は横を向いた。
「………………久しぶり、おばあちゃん」