ange~天使が恋した王子様~
保健室について、扉を開けようとしたとき、
「ほんとにバカだよねぇ」
「うるせぇよ」
呆れたような声と、不機嫌そうな声。
それは間違いなく、由紀ちゃんとソウくんのものだった。
「足ひっかけられて、挙句に違う人に足踏まれるなんて‼︎」
「されたくてされたわけじゃねぇ」
「されたくてされたんだったらただのドMよ」
「だからちげえって」
それから聞こえたのは由紀ちゃんの笑い声。
なんだ、私の入る隙なんて、ないんじゃん。
私はゆっくりとその場から離れた。
終わりのアナウンスが聞こえる。
結果、私たち1組は優勝できなかった。
私たちの最後の体育祭は、私の心に大きな後悔としこりを残して終わった。