ange~天使が恋した王子様~


「ん………」

目が覚めると、見慣れた景色だった。

一瞬、今までのことは全部夢で、普通に朝かと思った。

けど、カーテンの向こうからの明かりがないことと、身体中の激痛が現実だと教えてくれた。


「気がついた?」


「え、どうして…………」


「思ったより早く目覚めてくれてよかったよ、杏ちゃん」


「楓くん……」


「身体はどう?」


「大丈夫」


「そっか、よかった」


「あの、どうして……」


「あぁ、階段の踊り場で杏ちゃんが倒れてて、周りにいた人たちが騒いでたから保健室まで運んだんだけど、

後夜祭終わって、下校時間になっちゃったから、今度は家まで運んだんだ」


「ごめんね、重かったよね。

迷惑かけちゃった」


「全然いいよ、そんなの」

やっぱり、楓くんは優しいな……
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