ange~天使が恋した王子様~
「ソ、ウくん…?」
『杏…』
「今、どこにいるの…?」
私の声は震えていた。
携帯を落とさないようにぎゅっと握る両手も、崩れ落ちないようになんとか保つ足も。
この震えは寒さのせいなのか、動揺のせいなのか、わからないけれど…
『ごめん、杏。俺今、
由紀のところにいる』
身体は寒くて、頭やコートを濡らしていく雪は冷たくて仕方ないのに、
頬を伝ったものはそれに似合わないくらいあたたかかった。